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位牌を作る。 [ 5_34 位牌を作る。]

妻が今年1月に急死したことは既にお伝えしていました。コロナ禍ということもあり、家族葬(無宗教)での葬儀を執り行いました。
参列した人数は少なかったですが、家族全員で心のこもった温かい気持ちで送ることができ、妻も喜んでくれたのではないかと満足しております。

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「位牌の手作り」などというテーマをブログにアップすべきかどうか迷いました。しかし、自分と同じように考えている方もいるかもしれない、その時に少しでもヒントになればと思い、アップすることにしました。
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【位牌を自作することになった背景】
葬儀社との話の中で、位牌はどうしますか?と質問され、とっさに浮かんだのが、自分で位牌を作りたいという気持ちでした。それも、妻の位牌だけではなく、自分の位牌も一緒に作ろうとっさに思いつきました。
そして、次のようなものにしたいと考えました。
 ・妻が先に逝ったけど、これからも常に一緒であるという気持ちを表したい。
 ・一体感のある2つの位牌をつくりたい。
 ・位牌には、無宗教で戒名もないため、本名を書きたい。
 ・通常に位牌にはない、重要な生年月日・死亡年月日を記載したい。さらに、夫婦にとって結婚という重要な節目である結婚記念日も入れたい(結婚して共に生きてきた証)。

そして、すぐに位牌のイメージがわいてきたので、図面を起こし2月中旬から製作に取り掛かりました。

【設計した位牌の構造】
まず最初に考え方えたこと
① サイズは身近なところに置けるように、コンパクトなものにしたい。
② 使用する材料は広葉樹の硬い無垢の材料を使用したい。
  (20年前に妻のリクエストで自作しオーク材のカップボード製作で余った材料を使う)
③ 位牌は一枚の板から切り出した繋がり・連続性のあるものにしたい。
  ・2つの位牌をくっつければ木目がつながっているように材料を裁断する。
  ・台座も同様に、1枚の材料から作る。
④ 位牌本体には氏名をを彫刻刀で彫る。台座には、生年月日→結婚日→死亡年月日を刻印する。

以上のようなコンセプトのもと、具体てな設計をスタートした。

【最初に描いた計画図】
実際には製作工程の中で随時見直ししたため、この図面よりも一回り大きくなりました。
ihai.jpg


【製作過程】
一枚の材料から、部材を切り出します。左が台座部分で、これを上下で切断して台座部分を切り出します。右側の2枚が位牌本体部分となります。位牌は小さいので、手持ちの端材で材料どりできました。
DSCF5442.jpg

まずは、位牌本体部分の加工。裏側両サイドのコーナー部にはR加工を施し、2の位牌の一体感を出しています。引き続いて台座も加工。
DSCF5444.jpg

部品の加工が終わり、台座の上に位牌本体を置いて仕上がりを確認。
2022-02-18 12.07.13.jpg

2つの位牌をくっつけて置いた状態。通常はこの状態で仏壇に置く予定。
2022-02-18 12.05.55.jpg

横上方から見ると、こんな感じ。木目がつながっているのがわかります。最後に位牌本体と台座の固定は、ダボで使用して固定するように加工。その後、それぞれのパーツをサンドペーパーで仕上げを行いました。
2022-02-18 12.06.02.jpg

DSCF5470.jpg


【文字入れ】
・・・手彫りから、レーザー加工へ・・・
次は、位牌と台座への文字入れ作業です。本体の部分は彫刻刀で、台座部分は小さな数字のため刻印で行くことで考えていました。
しかし、材料が硬くて持っている彫刻刀ではきれいに彫れないことが判明。また、台座の刻印は文字が小さく、きれいに3行に分けて数字を打つのは大変難しいことがわかりました。
結局達した結論は、レーザー加工による文字入れが一番現実的だろうといことです(最近、表札などをレーザー加工で文字入れなどを行うサービスがあることを知っていたので・・・)。

・・・今度は、レーザー加工してもらうところを探すのに苦労!・・・
レーザー加工でやってもらうところを探していたら、有名な渋谷の〇〇ハンズでレーザー加工のコーナーがあることが判明。表札や名板のレーザー加工しているの情報を得ました。早速、現品をもってハンズへ。しかし、お店に持って行って依頼しようとすると、店員から「位牌はどこで購入されましたか?」との質問、「自分で自作したものです」と答えると「申し訳ありませんが、お店で購入していただいた商品に対してのみ、加工を受け付けることになっています・・・(ハンズと業者の契約らしい・・・)」との話。つまり、持ち込みでの仕事は受けないことになっているため、結局ここでのレーバー加工は断念。
しかし、店員さんからは、渋谷でレーザー加工を指導しながらやらせてくれるお店を紹介していただくなど丁寧な対応をしていただきました。しかし、紹介先に連絡を取りましたが、現在はサービスをお休みしていることで、あえなく断念してそのまま帰宅。

・・・ついに、横浜で発見!・・・
自宅に戻って横浜で業者を探していると、ついに持ち込みでお願いできる業者があることがわかり、連絡を取ると快諾。費用も7千円程度。仕様が決まれば、1週間程度で加工できることも判明し安堵。早速図面と仕様のやり取りを何度か行い、字体・文字の大きさ・文字の配置等ついにメールでやり取りしました。1週間程度の期間を要しましたが、業者の迅速な対応でスムーズに進みました。

そして、いよいよ加工先に品物を送ることになり、下の写真のように本体と台座の組み合わせを間違えないよう色で分けたシールを張って準備したところです。
2022-03-23-15.46.00-k1.jpg


【完成した位牌セット】
文字入れがイメージ通り仕上がりましたので、次は、位牌本体と台座を接着剤で固定した後、ジェルニス(透明)で塗装して完成。二つの位牌は、予想以上の出来上がりで満足。子供たちも喜んでくれました。右側が妻の位牌。左側が私の位牌(もちろん死亡年月日は、未記入)です。

二つの位牌を並べて仏壇に置くと、何故か心が落ち着きます。

最後に、まさか自分で妻の(自分たちの)位牌を作ることなるとは、全くの想定外でした。しかし、無宗教で葬儀を行うことを決めたことで、位牌に対するこれまでの概念から解き放たれ、自分で作るという自由な発想ができたのだと思います。
結局、構想を始めてから完成まで約2カ月の期間がかかりましたが、どういう位牌にすると妻が喜んでくれるかということを集中して考えられたとても貴重で充実した時間になったと感じています。妻にも感謝です。
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